いとしの本棚

好きな本を好きなように紹介をしています。

スレイヤーズ 大胆不敵!電光石火!勝利は私のためにある!

 

1990年に刊行され、1995年にアニメ化した大人気ライトノベル

主人公リナ=インバースが旅の中で魔族という破滅を望む存在とかかわることになり、魔術を駆使して立ち向かうストーリーです。

女の子のひとり旅という物騒ではないか?という始まりですが、「手加減いっぱつ岩をも砕く」と表現されるほど強大な力が標準の地域生まれなせいか、苦労せず旅することになります。

懐が寂しくなれば近くの盗賊を討伐してため込んだお宝をぶんどり所属する魔導士協会で、護衛やブラスデーモンやレッサーデーモン、スライム、ゴブリンなどの討伐依頼をこなして生計を立てていました。

どんな相手にも全力で魔術をぶっぱなすため、ついたあだ名が「友達になりたくない魔導士ナンバーワン」とか「ドラゴンもまたいで通る」などのもの。

破壊神や極悪魔導士などという分かりやすいあだ名をつけないこともこのラノベの特徴ですね。

仲間からモブに至るまでの掛け合い参加も面白さを後押ししています。

 

 

ルビを付けたくなる読み

今でいうなら厨二病っぽいと言われるかもしれません。

黒魔術代表の竜破斬[ドラグ・スレイブ]や白魔術代表の崩霊裂[ラ・ティルト]、精霊魔術では地撃衝撃[ダグ・ハウト]が攻撃系魔術としてよく使われます。

魔術すべてにこういったルビが付いていて、響きがカッコいいという、小中学生男子が目を輝かせそうな名前です。

もちろん術名だけでなく、武器もそう。

主人公の旅の仲間、ガウリーが持っている通称「光の剣」ですが、光を収束させて魔族を切るので「光の剣」と呼ばれているだけで正式名称[裂光の剣(ゴルンノヴァ)]といいます。

先祖代々の家宝で出所は不明。

第1部終了時に魔王の一人(?)、闇を撒くもの(ダークスター)の武器だと判明し、闇を撒くもの(ダークスター)のもとに変換されたときにようやく正式名が知られることとなりました。

第2部では妖斬剣[ブラスト・ソード]が出てきますね。

 

スレイヤーズの「魔族」の定義

スレイヤーズでは敵として魔族と名乗るものが出てきます。

特に人型を取れる魔族を純魔族と呼ぶそう。

もともと負の感情が元で出来上がった思念体のようなものですね。

精神世界でのみ存在しているのですが、精神世界で大きな力を持っていると、現実世界での具現化が容易くなるというもの。

憎悪が濃いほど強い個体が出来上がり、強い個体ほど整った容姿をしているのは人間にそう言う望みが強いからだそうです。

黒魔術も精神世界に干渉して現実世界で力を具現化させるものなので、魔族は精神世界で自我が出来て、自分から現実世界に干渉しに行っている存在となります。

ちなみにレッサーデーモンやブラスデーモンなどは同じ精神世界に存在していますが魔族と呼ばないよう。

彼らは現実世界で実態を保てないので自我の弱い生き物に憑依して存在している、ということでそんな雑魚に魔族を名乗る資格はないということでしょう。

 

魔術の流通する世界

スレイヤーズの世界では黒魔術、白魔術、精霊魔術があります。

カオスワーズを分析し、理解することで使える魔術のことで、スレイヤーズ界の一般にまで認知されています。

黒魔術は「世界」を統べる魔王の力を借りた攻撃魔術と人を呪うための魔術。

魔の力を借りるということで、負の側面が多大きく、主に破壊系の魔術となります。

白魔術の破邪を目的とした浄化の魔術。

そのためルーンブレイカー破法封呪という黒魔術の効果を弱める結界を張ったり、治癒系の術も白魔術に分類されます。

あとは精霊魔術ですが、こちらは地、水、火、風の四大元素を使った術と精神経を操る魔術ですね。

攻撃系に使われている地撃衝撃(ダグ・ハウト)は大地を振動させ、無数の錐として隆起させます。

何のために生み出されたのか地精道(ベフィス・ブソング)は地面に真っ直ぐな穴をあけるものもあります。

他にも浮遊(レビテーション)という風を利用して空を飛ぶ術など、使い方によっては生活を便利で豊かにしてくれそうな魔術ですね。

 

天才美少女魔導士リナ=インバース

主人公の自称天才魔導士にして剣士でもある美少女のリナ=インバース。

姉の「世界を見てこい」という一言から故郷であるゼフィーリアを離れ一人旅をすることになりました。

華奢で小柄で丸くて大きな瞳が特徴の15歳の美少女。

庇護欲をそそりそうな外見とは裏腹に、派手な攻撃力を持った黒魔術を使うのが大好きな危険人物です。

その上大食らいで、がめついという・・・あだ名どおり、友達になりたくない魔導士ですね。

町から町への旅をしているため、評判などは知らず目についた店に入るのですが、たまたま血の気の多い連中が集まる店だった場合、十中八九もめ事を起こします。

もめ事というか、喧嘩があれば巻き込まれに行って大事にし、コナをかけてくる男に拳で答えるというのが正しいでしょうか。

スレイヤーズ!」1巻ではメシ屋で敵に声をかけられ、連れてきた獣人などを倒すために食事中の客の前でスプラッターにするなど配慮という言葉は知らないよう。

こんな主人公ですが故郷に帰れば商人である両親の手伝いをするし、自分より圧倒的に強い姉には完全におびえているまっとうな女の子です。

 

 

お気に入りの爆破場所は盗賊のアジト

困っている村の人の依頼で行う盗賊いびり討伐ですが、これは実は実益を兼ねたリナの趣味。

「悪人に人権は無い」という理念をもとに悪人が行ってきた悪行をそのまま返すという内容なので良いのか悪いのか、判断が微妙なところですね。

派手な攻撃呪文をぶっぱなし、パニックになっているうちにため込んだお宝を品定めして持ち帰り、アジトにとどめの攻撃魔法をお見舞いして壊滅させる。

という計画的かつ巧妙な手口を使っています。

しかし被害にあった町や村の人たちからは泣いて喜ばれる行動ですし、たぶん善行でしょう。

ちょっと報酬を二重取りしているだけで。

懐が温まり、かつ困っている人が喜び、かつ自分の憂さ晴らしにもなる一石三鳥の大のお気に入りの仕事です。

盗賊から奪ったお宝を売って稼いだお金は魔術の実験材料になって世の役に立ち、リナの食費になることで飯屋にも貢献と良いことずくめだそう。

 

ガウリー=ガブリエフ

盗賊討伐で欲をかいたため運悪く盗賊の残党に見つかり、追い掛け回されていた時、助けに入ってくれた金髪碧眼の好青年。

リナを事情があって故郷を追い出された可哀そうな少女だと勘違いし、近くの町まで護衛を買って出ることにした「いいひと」でもあります。

剣の腕は超一流で、剣士を名乗るリナから見ても絶賛の腕前らしい。

最初のキャラ設定では魔術の説明をするために「魔術にはうといひと」という設定。だったのですが、作者の興が乗ったのかだんだん「記憶がうといひと」に変わり、最終的には考えないひとになってしまいました。

最初は黒魔術、白魔術の説明のやり取りのための「うといひと」でしたが、次第に怪しいかどうかの判断ができないと胸を張ったり、竜族をでっかいトカゲと説明して族長を怒らせたり、ストーリーの潤滑剤となっていますね。

毎回リナがガウリーを紹介するのに、「脳みそクラゲ」だとか、「頭の中にはふやけたパスタが詰まっている」だとかユニークな表現を使ってくれます。

 

 

旅の途中で出会う敵

盗賊とのいざこざから知り合ったリナとガウリーですが、知らない間に魔族に認知され、知らない間に事件に首を突っ込むことになっていました。

魔族とは以前も戦っていたリナですが、今までに通用していた呪文が全く通じない魔族がいることに驚きを隠せません。

彼らは破滅を望む存在なので、ただの人間である自分が狙われる理由も分かりませんでした。

実は彼らの王を倒したことが原因ですが、魔族に仇を討とうなどという意思は無く、ただリナが知っていた禁忌の呪文が目的だったのです。

そのため回りくどくリナを程よく追い詰められる敵を送り込んだんですが、破滅のみを望む魔族に手加減など分かるわけもなく。

かといって間違って殺すわけにいかないので、失敗ばかりだったようですが。

魔族は高位になるほど頭も良くなるので、リナたち一行はじんわり罠にかかっていくことになります。

 

 

 

まとめ

ノリと勢いと笑いとファンタジーを絶妙に混ぜたスレイヤーズは、傍若無人な主人公が大暴れするストーリーで、筆者はバトルコメディだと思っていました。

単行本の説明でヒロイック・サーガだと書いてあるのを見て「?」と思ったくらいです(笑)

リナやガウリー、他にも仲間になっていくキャラたちは全員お茶目でオーバーリアクションです。

毎回すごくくだらないことで揉めたり、敵の倒し方がアホっぽかったりするのでそっちの方がメインぽいのは仕方がないのではないでしょうか。

普段は真面目そうなキャラの冗談に盛大なリアクションを見せるリナたちを見るとやっぱりお笑い系だなと思ってしまいます。

それでも考えてみれば魔族を倒し、魔王を消滅させるスレイヤーズはたしかにヒロイック・サーガでしたね。

連載からもう30年になるとは。月日が経つのは早いですね。